幽光 別館(旧:ゲームの窓は半開き)

スマホゲームなどの紹介(アフィリエイトあり)の予定でしたが、昔の作品に関する話が多くなっています。

『ゴジラ』1作目制作の経緯と初代ゴジラのキャラクターの方向性(書籍『日本映画黄金期の影武者たち』)

ゴジラ』1作目制作の経緯と初代ゴジラのキャラクターの方向性(『日本映画黄金期の影武者たち』)

『日本映画黄金期の影武者たち』という書籍の「第四章 傑作シナリオはこうして生まれた……森栄晃」で、『ゴジラ』1作目が取り上げられており、内容を興味深く感じました。

香山滋の作品ありきではなかった

ゴジラ』1作目の原作は香山滋の小説ですが、その映画化をめざしてスタートしたのではなく

(前略)「ハリウッドの『キングコング』のような怪獣映画がつくれないか」(後略)

というのがそもそものスタート地点だったそうで。

初代ゴジラのキャラクターの方向性と香山滋作品への道

怪獣映画ということで恐竜図鑑を参考にしたり、シノプシスをいろいろと作成したそうなのですが、いずれもパッとせず。

そんな中、会議室に何枚も貼られていた怪獣の絵を見て作詞家の関沢新一が発した言葉がヒントになったのだとか。

関沢さんは怪獣の絵を見るなり「これは違うなあ。恐い怪獣を考えたらダメだ。可哀相な怪獣を考えなくちゃ」とポツンと言ってくれたのです。

ちなみに、なぜ作詞家の関沢さんが会議室にふらっと現れたのかというと、実は元々、映画の助監督だったから(児童映画で有名な清水宏監督のチーフ助監督)。

関沢さんは助言をくれただけでなく、児童映画つながりで講談社の『少年倶楽部』の編集長を紹介してくれて、そこから大正末期の『少年倶楽部』の香山滋作品との出会いへとつながっていったわけです。

また、最初の「可哀相な怪獣」というアドバイスは実際の作品にも生かされていて

  • ゴジラは水爆実験で無理矢理目覚めさせられて、その後、人間に攻撃されて自衛のために戦う
  • 可哀相な怪獣なのだから哀れっぽい鳴き声、闘う姿も哀愁のあるものに

といった方向性のキャラクターとなっているそうです。それゆえ

ゴジラは、特撮シーンでも、国会議事堂や高層ビルは壊しても、銀座、有楽町界隈を逃げまどう市民を踏みつぶしてはならない。

という不文律もあったのだとか。

 

ゴジラ』に関する部分は7ページしかないのですが、なかなか興味深く読むことができました。

ちなみに第四章では全部で8本の映画が取り上げられているのですが、その8本の中に『モスラ』も入っています。